集合住宅の歴史〜これからの間取りは「2人世帯向け」
こんにちは。デベロッパーで商品企画をしているnao. です。
前回、集合住宅の間取りの歴史を取り上げましたが、それをふまえて今回は、最近の集合住宅の間取り事例と、これから住まいについて書いてみます。
目次
単身向けから2人世帯向けへ
マンションというと「家族で暮らす」というイメージが一般的ですが、2017年においては世帯人数が1・2人の世帯が全世帯のうち半分以上締めていて、4人以上世帯は2割にも満たないというデータがあります。
引用:https://news.yahoo.co.jp/byline/fuwaraizo/20180806-00091768/
特筆したいのは1人世帯が27.0%ですが、2人世帯が31.5%を締めているということです。
そうです、日本で最も多い世帯人数は「2人」なのです。
しかし現実には「単身向け住戸は多いが、2人世帯向け住戸が圧倒的に少ない」
という問題があります。
引用:https://www.homes.co.jp/cont/press/report/report_00086/
このグラフの通り単身世帯は全体の半数もあるのに、カップル向きの1LDK〜2DKの住まいは全体の3割しかありません。
実際に家探しをしたことのある方はご存知かと思いますが、特に2DKの間取りのマンションは圧倒的に数が少なく、築年数の古い物件が多いです。
理由としては、
①市場に出回らない
ワンルームマンションは進学や転勤でこまめに出入りがあるものの、家族で住んでいることの多い2DKは、妻や夫、家族のことを考えると、なかなか引っ越しに踏み切れないことが多いといいます。
②そもそも最近は作られていない
賃貸マンションは資産運用の一つとして建てられていることも多いのですが、ワンルームマンションに比べて2DKの間取りのマンションは坪賃料が安く、投資利回りが悪いためあまり好まれません。
特に最近は建設費が高騰していて賃料収入を最大化しないと利益が出ないため、ワンルームや1LDKが積極的に建てられていると思います。
(一方で2LDK以上になると、子育て世帯の需要があることから賃料相場やグレードを確保しやすいのでそれなりに作られているようです。)
しかし2人世帯の増えているこれからの時代、
まさに2DKの需要が増えてくるのではないか?というのが僕の予想です。
マンショントレンド事例
事例1 個室の環境
3LDK作れそうな広さで、あえて2LDKを狙っている物件。
画像引用:https://www.homes.co.jp/cont/buy_mansion/buy_mansion_00227/
南側のバルコニーに面して個室を持ってくることで、快適な個の空間を実現。またリビングダイニングを北向きにすることで、敷地北側の自然豊かな眺望を取り込んでいます。
(北向きリビングというと暗いイメージがあるが、北の窓から見える景色は日のあたる南面なので、眺望の点では恵まれます。)
事例2 脱nLDKの間取り
「部屋同士が壁で仕切られている」という概念を覆した物件。
2LDKではないですがアイディアが良いなと思ったので。
昨今、マンション価格の高騰からワンルームタイプのマンションが増えていますが、どうしても面積が小さいため、壁で仕切ると圧迫感があり、使い方も限られます。
この物件は家具によって空間を柔らかく区切ることで、部屋の広がり感と間仕切りの両方の役割を果たしています。
事例3 マンションに通り土間
2人にはやや広いプランですが、通り土間のあるマンション。
これからの時代2人世帯だけでなく、2人夫婦+1人、例えば娘や自宅介護の祖母といった「1.5世帯家族」が増えてくるのではないか?という想定のもと設計されています。
住戸内に通り土間を設けることで、間仕切って使えるもう一つのリビング空間を備えています。
事例4 シングルマザー向け賃貸マンション
「母力(ぼりき)」というヘーベルメゾンによるシングルマザー向け賃貸マンション。
住戸中央にある和室のふすまによって2LDKとしても、広いワンルームにもなる間取りが特徴的。子供の様子がすぐに分かる、家事育児に配慮されたプランになっています。
またリビングは敷地内の通路「母力の庭」に面しているため、街区内の他の家族との見守り合いや互助が生まれそうな空間に設えられています。
---------------------------------------------------------------------------------------------------
この記事がいいなと思ったら、下のブログランキングをクリックしていただけると嬉しいです!
他にも聞いてみたいことなどありましたらコメント欄にお願いします◎
nao.