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「賃貸VS分譲」論争の、心理的側面についての考察

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お金の話はもちろんあるけど、この論争にはもう一つ、「生き方に対しての心理的な心構え」みたいな部分もあると感じる。

例えばオフィスでの自社ビル企業と借りビル企業での比較。

自社ビルは、自社ビルとしてのブランディングというか、アイデンティティを場所に持っているようなイメージ。

賃料がないから歴史の長い企業だと経営基盤も安定するだろうし、しっかりとした落ち着いた企業。

一方貸しビル企業は、そのフットワークの軽さでいろんなことをオフィススペースを使って試せるし、その時の会社の情勢、規模感によって比較的自由に色んなことをフィックスできる。

 

そんなことを感じたきっかけは、最近色んなオフィスに見学に行く機会があり、貸しビルに入居している企業のオフィスレイアウトが実に実験的で先進的だと感じたから。

 

情報漏洩の都合上、具体的なオフィス名称を出すのは差し控えるのだけど、フリーアドレスが進んでいて、ワークスペースと共用部のデザインもほどよく、とても仕事がしやすそうなスペースが繰り広げられていた。

 

一方自社ビルを所有している弊社に戻ると、やっぱり天井は低いし狭い。笑

昔のビルって1フロアあたりの面積がやっぱり狭いし、天井も低い。

年々広くなるフロア面積、高くなる天井高に置いていかれていっているような印象を受けた。

 

これは住宅の賃貸と分譲にも共通することだと思っていて、例えば転勤族の人は持ち家を買いにくいと言われるが、それは逆にいうとフットワークの軽さを表しているとおもう。

その時の気分や生活スタイルで日本はおろか世界中のどこにでも移住ができるし、家族の増減に合わせて部屋を変えることができる。

もちろんインテリアについても、最新の間取りに住むことができれば最新の暮らしを取り入れることができるし、物の回転が速い(雑貨や服に飽きやすい、安く買ってすぐ捨てて新しいのを買うみたいなスタイルが好きな人)人は賃貸の方が流派的には似てるのかなって思う。

一方持ち家は、一度買うと離れるのはなかなか難しい。

一方で、物事を大切にする生き方にはとても合うと思う。

その土地やご近所付き合い、家そのものやインテリアの雑貨まで。その場限りのものではなく、何年も長く付き合っていくものだから、気に入らなかったといってすぐに手放せるものではない。

だけど、ひとつのものを長く使っていく、物に愛着を持って生きていく生き方はそれはそれでとても素敵だと思う。

素敵な海、お気に入りの街並み、付き合いが長い近所のお友達。

そういうものに囲まれてゆったり歳を重ねていくのも悪くないなあと思う。

 

自分はつい最近、20年以上過ごしてきた実家を出た。

30歳くらいには持ち家を買うかどうか決めなければいけないと思うので、それまでに、どういう生き方が自分に合っているか、ゆっくり考えることにする。