K-POPに沸く韓国社会の底に漂う空気・「パラサイト 半地下の家族」を見て
お久しぶりです、nao.です。
1ヶ月以上前になりますが、韓国映画「パラサイト 半地下の家族」を見て思ったことをメモしていたので、振り返りながら書こうと思います。
(ネタバレしないように、物語の社会背景を書いていますが、気になる方はご遠慮ください。)
物語は韓国。下町のアパートの地下室に住む、貧乏な4人家族の話。
この映画を見てまず思うのは、時代感、国民性、社会背景の描写がとても鮮明であるということです。
日本だと地下居室を設けるには法律が厳しく、採光のためドライエリア(空堀)を設けたりしなければならないのと、不動産的にも風水害のリスクからあまり作られていません。
韓国の法律では北朝鮮との戦争に備えて半地下住戸を「防空壕」として設けたという経緯があり、法規制がゆるく、大きなマンションでも安く賃貸されています。
ちなみBBCの取材ではソウルの半地下住宅の家賃は月額約54万ウォン(約5万円)だそうです。映画に登場する家は40㎡弱に見えたので、激安というわけでもなさそうですが…
そうした「半地下の家」に住むのは日雇労働で生計を立てているような人々。
韓国経済は財閥が主体で構成されており、財閥に入れなければ仕事がない!というほど独占的な状態にあります。また財閥は親族のコネで入社するものも多いため、コネもなく、秀でた能力がなければ家族代々、いつまでも日雇い生活を続けなければなりません。
ちなみに日本も有名な財閥はありますが、戦後の財閥解体でだいぶ分割されました。これは力のある企業が結束して再び戦争を仕掛けないようにするためとも言われていて、韓国ほど独占的な状態にはなっていません。
韓国は第二次世界大戦後の朝鮮戦争で国が疲弊し、一気に復興と経済成長をしなければならなかったことと、日本と違ってアメリカに敗戦したわけではないので、そうした経済界の刷新が起こらず今日に至った…というような経緯があります。
彼らはとある経緯で、大実業家家族の家庭教師や家政婦として働き始めます。
彼らの家は有名な建築家が住んでいたという設定で、木材や石のような自然素材が多く使われており、リビングからテラスに広がっていく水平性が意識された建物でした。
実際にはこの家も半地下の家も、この映画のためのセットだったというので、その完成度の高さに驚きました…!
さらに物語は厄介なことに、一方で彼らよりも貧乏な「社会の最底辺」とでもいうような人々と出会うことになります。
その出会いは、貧乏人とお金持ちとの価値観の違いや、格差を感じるなかで苛立つ一方で、「最底辺よりは上なんだ」という、どこか恐怖感のような複雑な感情に駆られていきます。
そうして彼らの行動は次第にエスカレートしていき…(ここが映画のメインどころですので割愛しますが)、ついに勢い余って、大きな過ちを犯してしまします。
ラストシーンは、衝撃の一言。
見た直後は「そこまでやるか…!??」と思いましたが、韓国の社会や、時代背景をたどっていくと、どこかそのラストシーンにつながる厳しさがあるのかもしれないと思います。
「映画というエンターテインメント」という意味では大変面白くて、製作者の方々を尊敬する一方で、
この映画にそんな結果を生んでしまった、不寛容な、不公平な社会に憤りを感じました。
登場人物ひとりひとりはとても魅力的なのに、彼らの経済事情や関係性を紡いでいった途端に、この映画のような衝撃的な結末に至ってしまう。
それはまるで「険悪な韓国と日本の関係性」のような、
韓国人ひとりひとりはとても優しいのに、政治体制や経済システム、社会構造が「韓国」という国に「嫌日」という姿勢を取らせているのではないか?
そう感じざるを得ませんでした。
パラサイト 半地下の家族
余談ですが、映画を見るとその国の文化や国民性、町並み、建築の特徴など様々なことがわかるので、僕は海外旅行する前にその国の映画を一本見ていくようにしています。
イタリアなら「ニューシネマパラダイス」
サンフランシスコなら「ベイマックス」でもいいかもしれません。笑
今週末、東京は外出自粛のさなかではありますが、家にいるからこそアマゾンプライムやネットフリックスで映画を見て過ごしてはいかがでしょうか。
パラサイトもまだ上映している映画館があるようなので、もし機会があればぜひ見てみてください!
みなさんはどこか海外の映画でおすすめとかありますか?
それではまた。