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就活中の建築学生必見!設計事務所とデベロッパーの違いって?

こんにちは。SeekEN'sのKyoheiです。

前回、就活中の方に向けて、組織設計事務所とアトリエ事務所の違いについて説明しました。

今回は就活生応援キャンペーン第2弾として、設計事務所デベロッパーの違いについてシェアしたいと思います。

 

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1,設計事務所デベロッパーの違いについて

この2つは、アトリエと組織ほど紛らわしくないかと思います。

簡単に表現すると,デベロッパーは発注者で、設計事務所は受注者という関係になります。

デベロッパーは、土地を仕込んできて、建物の企画をします。その後、設計事務所に設計を発注し、発注図を作成していき、その図面を元に今度はゼネコンに工事を発注し建物を作っていくという流れになります。

よってデベロッパーは、建物の企画から建てた後の管理・運営までを行う、建物の持ち主となります。

一方設計事務所は、もちろん建てた後の責任まで負うのが理想ですが、契約上はあくまで竣工までと、特定の瑕疵担保期間のみの建物との付き合いになります。

 

2,就活する時の注意点

ここで注意なのですが、今、みなさんが学校で学んでいる設計、どちらの仕事に近いと思いますか?

設計が好きな学生の多くは、設計を続けたいという思いで設計事務所に行く方が多いと思いますが、設計のどの部分が好きかによっては、この選択はミスマッチな可能性があります。

設計の授業では、学年が上がるにつれて、とくに卒業設計においては、敷地を自分で選び、何を建てるかを自分で決めることが多くなってくるかと思います。

最初の企画の部分が好きだ!という方も多いかと思いますが、実はこの部分、設計事務所の仕事ではなくデベロッパーの仕事であることがほとんどなのです。

デベロッパーは会社によっては中に設計部隊を抱えており、土地を仕込んだ後ボリュームスタディや基本設計の初期段階まで行い、主に実施設計等の技術的な部分のみ設計事務所に発注する場合もあります。

ですのでもし、あなたが設計の授業の前半の部分、街や建物のコンセプト、機能を決めたり、、といった部分が好きで仕事にしたいと思い、設計事務所に入社してしまうと、「思っていた仕事と違う、、」なんてことにもなってしまいかねません。

自分が建築のどの部分に携わりたいのか、今のうちから十分に考え、最善の就職活動をしてくださいね。

就活中の建築学生必見!組織設計事務所とアトリエの違いって?

こんにちは。Seeken's のKyoheiです。

そろそろ就活生はエントリーシートをつくりはじめ、会社説明会やOB訪問に行き始める時期ではないでしょうか。

就活しながらも進路に迷っている、、、

という方も少なくはないはずです。

そこで今回は、意匠建築学生が就職活動をする際に迷いやすい、「アトリエ」と「組織」の違いについて説明しようと思います。

 

1.アトリエと組織の大きな違い

アトリエ事務所と組織設計事務所の大きな違いは、「仕事の請負範囲の違い」です。

建築を設計する際、必要な検討項目として、意匠の他に、構造、設備、コスト、施工などがあります。

アトリエ事務所は基本的には「意匠」を行う部署のみが存在し、構造や設備等は外注事務所にお願いをする場合が多いです。

一方、組織設計事務所は、社内に構造部や設備部、コスト部、更にはCG製作部やコンピューテーショナルデザイン部、インテリア部等、設計に必要な知識を持っている部が揃っています。

アトリエ事務所は上に大先生がいる、という特徴もありますが、上記がアトリエ事務所と組織設計事務所の大きな違いです。

 

2.アトリエ事務所のメリット・デメリット

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アトリエ事務所はなんといっても、トップの先生の思想を間近で学べるというのが最大の魅力ではないでしょうか。

建築思想を、仕事をしながらたくさん学び、将来自分が独立した際活かそうという人が多いようです。

また、事務所にもよりますが組織に比べ扱う規模が小さく、また人数も少ないため、1人あたりに任される量が違うので、成長スピードが速いと言われています。

短期間で多くのことを吸収し、独立を目指している方はアトリエ事務所に入所するのがいいのではないでしょうか。

 

デメリットは、人や場所にもよりますが給与と勤務時間でしょうか。

採用情報を見ても、組織設計事務所の方が初任給が高い傾向にあるようです。

また、昨今の傾向として、残業に対する社会の目が厳しくなってきていることもあり、大きな会社から勤務時間が厳しくなってきているようです。組織設計事務所も、残業時間や休日出勤に関しては厳しくなってきているところが多くなってきているようですが、アトリエ事務所はまだまだ勤務時間が長いのが現状のようです。

そこが成長スピードが速いと捉えられる所でもあるかとは思います。

 

3.組織設計事務所のメリット・デメリット

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組織設計事務所のメリットは、なんといっても他の分野のプロフェッショナルと同じ空間で仕事ができることではないでしょうか。

設計の際、構造や設備の事柄も密接に関わってくることが多く、その際すぐ近くにその道のプロがいるので、ちょっと聞きにいったりなどが簡単にできます。

そのため、環境配慮に特化した建物や、独特な構造の建物など、相互間のイノベーションが起きやすい環境にあると思います。

 

デメリットとしては、成長スピードの遅さではないでしょうか。

組織設計事務所は、設計事務所でもあり、普通の会社でもあります。

仕事はなかなか自分では選べないことも多く、例えば入って3年ほどBIMばかりやらされている、企画の部署に入ってしまい実施図を描く機会が全くない、など、プロジェクトの期間も長いため、全ての工程を経験するのに数年かかってしまう場合もあります。

独立するのに退職される方も、早くて8年目以降の方が多い印象です。

一刻も早く独立したい方は、アトリエ事務所の方が合っているかもしれません。

 

 

以上がそれぞれの大きな特徴ですが、ここで2つの特徴をより掘り下げていきましょう。

 

 

Q,アトリエ事務所に行かないと独立できない?

A,組織設計事務所でも独立できます。

 

組織設計事務所でも、独立するため退職される方も多くいますし、独立されてない方も、いつでも独立したい、と独立を目標に頑張られてる方が多い印象です。

ただ、上にも書いたように、成長スピードはアトリエ事務所の方が早い傾向にあるので、なるべく早く自分の事務所を持ちたい!という方にとっては、アトリエ事務所の方が適しているかもしれません。

 

 

Q,アトリエは独立を目指してないと行きにくい?

 

A,そんなことはありません。

アトリエに行く人は独立志望の人が多いと上で書きましたが、アトリエに行く人でもトップの先生の右腕として、長く勤務されてる方もいますし、トップ建築家の事務所であれば、丹下建築設計をはじめ、先生亡き後も設計事務所として多くの仕事をしている事務所もあります。

久米設計や山下設計など、今の組織設計事務所の多くも、元々はアトリエ事務所と呼ばれるものであった会社も多いので、アトリエに長く勤める道もあると思います。

また、アトリエ事務所から組織設計事務所に転職する方も多く、そういった方は新卒で入社した方よりも違った経験をされてるので、上司に対しても新卒とは異なるアピールが可能です。

よって、ファーストキャリアをアトリエ事務所とするのは、その後のキャリア形成をする上でも有効な選択肢だと思います。

 

 

 

以上、就活生に向けた、「アトリエ」と「組織」の違いについてでした。

ここで書いたこと意外にも、それぞれの特徴はたくさんあると思います。

迷われてる方は是非、両者で働いてる先輩に話を聞きにいってみてください。

就活は、実際に働かれている様々な会社の先輩の話を無料で聞ける貴重な機会です。

今後、入社してから自分のキャリアを見つめ直す際にも、この期間の経験は糧になると思いますので、是非色々な人の話を聞いてみてくださいね。