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中の人は組織設計事務所と不動産デベロッパー。建築や不動産の面白さを伝えたい!最近の建築のトレンドから勉強のヒントになるような専門的な情報まで

卒業設計の評価なんかで将来を決めるな。僕が卒業設計について思うこと。

最近、卒業設計に限らず、設計の授業に対して疑問視するツイートをよく見るので、僕なりに卒業設計に対することを書いていこうと思います。

 

 

狭い領域に囲われた「卒業設計」という概念

 

僕が学生の頃も卒業してからも、卒業設計がうまくいなかったから建築を諦めてしまう人が一定数見受けられます。ですが、ぼくは卒業設計がうまくいかなくても建築を諦める必要は一切ないと考えています。

まず、卒業設計って評価軸がかなり曖昧な気がするんです。

基本的に評価するのは大学の教授の方々です。

大学の教授って、専門分野を研究している方が多いので、興味はどうしても専門的なところによっていってしまう。都市の人は都市っぽい作品を評価するし、リノベ系の人はリノベっぽい作品を評価する。そして、もちろん研究や学問も大事ですが、今建築や社会の大枠はそういう次元で動いていない部分も多い。もっと建築学に関係ない場所、例えば政治的側面や、巨大資本や事業生の観念から物事が進むことが多い。

 

更に言うと、今後、建築だけで社会が進んでいくのでしょうか。

TOYOTAの都市プロジェクト、なんで日本建築家が選ばれなかったんでしょうね。

僕は日本の建築が他業界との結びつきが弱いせいで、イノベーションを起こし損ねてるように感じてならないのです。

僕が学生の頃、某卒業設計展に、チームラボの代表、猪子寿之さんがゲストで呼ばれていたことがありました。

チームラボといえば、最新鋭の技術でとても興味深い空間インスタレーションや商業デザインをしている集団で有名ですよね。

当時で考えると、建築畑意外の人を呼ぶというのは先進的で、他分野の専門家を取り入れることで建築に新しい風を起こそうという姿勢が感じられました。

しかし、猪子さんがコメントを求められた時、印象的だったのが

「難しすぎてわからない」

だったんです。

だいぶ衝撃的でした。あれだけ一線で活躍している方がわからない。

建築学って踏み込みすぎると他の分野の人が中々入ってこれないほどにハイコンテクストで専門性が高い。

 

この、良くも悪くも結びつきが強い建築業界というかたまりが、逆に自分たちの首を絞めているように感じるのです。

 

ここできちんと断っておくと、僕は建築学を否定しているのではありません。

ただ、「建築学に向いていない」=「建築に向いていない」と勘違いしてしまう学生がたくさんいるのではないかと危惧しているのです。

その人には建築の才能があるのに、その勘違いによって将来才能が開花しないなんてことがあったらもったいないと思うのです。

 

建築の仕事は、建築学科で勉強して触れられる領域よりもうんと広い領域が広がっている。

なのに、卒業設計展や設計の授業の環境が、教授やアトリエの先生のみで構成され、特殊な専門領域ゆえ学問的な才能や、奇抜なデザインや優れた感性、美しい手描きドローイングスキルがないと建築の世界に進めないんじゃないかと思わせてしまう気がしています。

今回、卒業設計をやった人の中にも、卒業設計がうまくいかなかったら建築を離れようと考えている人もいるかもしれませんが、卒業設計を理由に建築を嫌いにならないで欲しい。

もっといろんな世界が広がっています。

 

卒業設計展も、とてもいい環境だと思います。自分の大学以外の作品に触れ、人と出会える最高の場です。特に赤レンガ倉庫卒業設計展や卒、などでは、赤レンガや馬車道駅構内など、一般の方にも目に触れるような場所に展示していて、建築を広めようという姿勢が見られるのが凄くいい。

 

だから例えば、建築関連者以外の人だけをクリティークに呼んだ卒業設計展なんてどうでしょう?笑

TOYOTAなどの自動車業界やGoogleなどのIT企業、ナイアンテックなどのゲーム業界など、都市をつくりかえるプレイヤーの領域は建築以外に広まっている。そういう業界で働く人を呼んで卒業設計展をするとかね。

 

色々書きましたが、僕は建築学のハイコンテクストで超専門的な領域はそれでどんどん発展していったらいいと思う。

一方で、モクチン企画やR不動産のような、建築と不動産を繋げる領域や、藤村龍至さんのようなワークショップによるまちづくりのような、都市を市民にもっと知ってもらう活動のように、一般的に都市や建築を開いていくような活動が学生の頃から活発に行われるようになるといいですね。

 

 

あとそうだ、これが伝えたかったから書き始めたのですが。

なんでこんなこと書いてるかというと、僕が卒業設計大失敗したからなんですよ。笑

でも、そんな僕でも今中堅くらいの組織設計事務所で設計のお仕事をしています。

逆に、卒業設計めちゃくちゃ評価されてた人が実は設計事務所の就活全然うまくいかなかった、なんて話も聞きます。

卒業設計の評価と、就活の評価は違うのです。

だから、もし設計の仕事をしたいけど卒業設計うまくいかなかったって人は、全然諦めることありませんよ。

ということが1番伝えたかったメッセージです。笑

 

 

思ったことをつらつら書いていったので、文章構成がひどいと思いますが。。

最後まで読んでくださった方はありがとうございました。

もしよかったら感想などコメント頂けますと幸いです。

 

Kyohei