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就活アドバイス)元建築学生がデベロッパーで働いてみたらけっこう大変だった件

こんにちは。都内のデベロッパーで商品企画をしているnao. です。

 

前回に引き続き、今回は就活を経てデベロッパーで働き始めてからのギャップについて、また2020年4月から働き始める学生へのヒントについてもお話します!

 

▼ 前回の記事はこちら。 僕の就活について書きました。

seekencearchi.hatenablog.com

 

目次

 

予想外の配属

配属先を聞いた時、正直驚きました。一級建築士事務所でした。

入社するまで知らなかったのですが、弊社はデベロッパーであるものの一級建築士事務所がありました。一般に大手デベロッパーはそうした事務所を抱えていることが多いようですが。

配属面談では「おそらく建築部には配属されない」と言われていたことや、大学院で建築を学んでいなかったので一度建築から離れて不動産の知識を身につけて働きたいと思っていたことから、まさか設計を行う部署に配属されるとは思っていませんでした。

 

とはいえこれも企業の事情で、建築系の学生を毎年一定数育成しないといけないという計画があったのだと思います。こうした傾向は特に大企業で大きく、鉄道会社に就職したのに子会社の本屋さんに出向になったとか、

やりたいことが本当にできるのか、仮にその会社でやりたいことができなくてもいいのか、気になる人は確認しておいたほうがいいと思います。

 

(参考)就職先の選び方〜価値観の違い

人によっては「この名前の会社で働きたい=ブランドがほしい」とか、「給与のいい会社で働きたい」とか、「一緒に働きたい人がいる会社を選ぶ」という視点で就職先を選ぶ人もいます。

弊社にも同期には様々な考え方を持っている人がいます。

彼らは特に仕事内容に対するこだわりはないため、与えられた仕事でいかに成果を出すか、高いボーナスをもらえるかを大事にしている人がいます。彼らは建築に対する変なこだわりが少ないため、公平な判断を下せる人が多いです。また会社としても部署異動させやすいと思います。

良い、悪いの問題ではありません。どの選び方も一長一短です。

 

 

裁量がクソでかい

これは会社によると思いますが、弊社は新人でも裁量権が大きいです。同時にマニュアルが無い、ということでもあると思います。

僕も1年目にマンション2物件の設計監理の主担当になりました。これは就活をしていたときからよく言われていたので分かっていましたが、社内の先輩や現場所長に聞いて物件進捗することに必死でした。

他にもグッドデザイン賞に応募していて、これが見事受賞することができたのは大きな自信に繋がりました!

 

大企業では通常、新人研修やコンプライアンスに基づいてマニュアルがしっかり決まっているため、若手のうちはそれに沿って業務を進めれば問題ないことが多いです。しかしそうしたマニュアルのない中小企業ではとにかくあたって仕事をすすめる、というケースが多いようです。

 

これも良い悪いはありません、どちらも長所短所があります。

もちろん成長できるのは圧倒的に後者です。あとはどちらが自分に合っているかだと思います。

 

 

残業時間がエグい

就活時にはOpenWork(元Vokers)というサイトと社員面談で、残業時間は月平均50時間ほどと聞いていました。正直キツいぞ、とは言われていました。

しかしこの数字は全社平均のため、部署によって残業時間は異なり、僕のいる部署では50時間で帰れる月は年の半分ほどで、それ以外は70時間ほど、年度末の2,3月に至っては90時間超になっていました。

月90時間の残業というと、ざっくり1日4.5時間の残業です。定時が9時〜18時とすれば、残業含めると8時半〜22時まで毎日働いていたということになります。

加えて、社会人になると社内の飲み会や、取引先とのお付き合いが少なからずあります。少なくとも週1回は18時過ぎから、遅いと深夜2時ころまで飲み会がありました。当然終電はないので自腹でタクシーを使って帰宅すると就寝するのは4時頃、7時に起きるためには3時間しか寝る時間がない。そんなこともありました。。

 

注)会社によると思います。今は上司が飲み会を強要するのはNGなので、弊社でも途中で帰宅する若手もいます。

 

(参考)OpenWorkとは

企業評価サイトで、現役の社員が自社の組織や待遇、成長環境や残業時間について回答しています。
https://www.vorkers.com/

ちなみに僕が就活をしていたときは、各業界の評判ランキング上位の会社から受けていました。会社名も知らない優良企業を知る方法としていい方法かと思います。

またすでに就職が決まっている・今働いている社員の方は、今後のキャリアの方向性を検討するのに有用と思います。

 

不動産業界の評価No.1は三井不動産さんでした。

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人付き合い・根回しが大事

これは僕も未だに悩むことが多く、組織であるがゆえに最初は担当者ベースで検討して、最終的には役員の同意を取り付ける必要があります。

僕もたまに役員へプレゼンをしに行くのですが、担当者ベースでは合意が取れていても、役員から予想外の質問が出てきて答えられず、提案が保留となってしまうことがあります。「え!?担当者は良いって言ってましたよ!」と言っても無駄です。質問にはきちんと対応できないということは検討不足と見られてしまいます。

この原因は僕が役員と事前に話していなかったことにあります。役員も人なので何度か話している内容なら特に聞かなくても同意できるかもしれませんが、初めて見る内容で、プレゼンしている担当者も顔を知らない若者なら、当然不安になって間違いを詮索し始めます。

結果として何度も案を作り直さなくてはならなくなります。これは非効率です。

 

学生のうちからここまで踏み込んで考えることはないかもしれませんが(僕もありませんでした)、これから企業で働くのであれば少なからず分かっておく必要があると思います。

飲み会は必要ない、担当者ベースで話すことになっている、などルールを盾に面倒なことから逃げていると余計に面倒なことになることもあります。まだ若手のうちは良いですが、中堅になると「あの人は仕事ができない」などと言われてしまうかもしれません。

 

 

さて今回はデベロッパーで働き始める前と後のギャップについて、大きく3つ書いてみました。

①希望した部署に行けるとは限らない

裁量権、残業時間→具体的にどれくらいなのか確認すべき

③人付き合い・根回しが大事

 

一方で、給与は大学の同期よりだいぶ高いとか、企画のような川上の仕事をできる部署に行ける可能性があるという面では、就活のときに学生のみなさんが夢見た通りのキラキラした世界も、あります。

ですが、そのキラキラした世界を見るためには、それなりの覚悟を持って(特に不動産業界は体質的に古いので)、ぶつかっていく必要があると感じています。それでも良い!という方にとっては最高の会社、それがデベロッパーなのではないかと思います。

 

色々書きましたが、来年から会社で働く方も、これから就活するという方も、幅広い視点を持って今しかできない様々な体験を楽しみながら、就活してみてください。

そしてデベロッパーも面白い会社たくさんありますので、ぜひ説明会に足を運んでみてください!

 

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また聞いてみたいことなどありましたらコメント欄にお願いします。できる限り回答させていただきます。

 

nao.